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歩兵十連隊

722:例言、緒言

722

例言

一、本史は、歩兵第十連隊の歴史を編年記述するものにして当連隊の創設以来の経歴及び名誉ある行動を知らしむるにあり、其れを編年体に為したるは逐年継続して記述するに便せしが為なり。

一、本史を編纂するに方(あた)り、資料に供すべきもの固(もと)より少なからず、然れども或いは一部の記事に止まり、或いは一個人の私記に属するものにして全体に直(なお)り、通覧すべきもの稀なり、今、之を悉く登記せんが、甲に厚く乙に薄き憾なき能わず、如此(かくのごとく)の本史を編纂するの目的にあらざれば将来彼是(かれこれ)参酌して補綴(ほてい)せん。

一、年次に因り記事に詳略の異あるは、尤も之が輯録(しゅうろく)に任ずるものの疎漏にして記録なきと、又之が材料となるべきもの明確ならざるとに因れり、今俄(にわか)に採りて資料に供じ難きもあり疑わしきは如く之を開き後の日得るに従るに補綴(ほて)せん。

一、記事の文辞或いは雅馴(がくん)を欠くものあり、蓋(けだ)し歴史の要は読書をして刮目娯神の快を取らしむるにあらずして、専ら事実を網羅詳説して当時の状況をして昞然(へい)たらしむるにありて、文辞の功を求むるに遑(こう)あらざればなり。

一、出征戦役には巻後に日誌を附するも、是れ只行動の概要を示すものにして戦術の研究に供するの目的にあらざれば閲覧者之を諒せよ。

編者識

緒言

本史を編纂するに当たり、先ず王政維新より歩兵第十連隊設置に至る迄の我が国軍政の変革の概要を叙せんとす、是我が国の一大革新にして太古の旧制に復したりと曰うと雖も抑も亦此の間の変遷は吾が邦古来未だ嘗てあらざる所なり、徳川幕府の末年既に兵制の改革を始む、尋で大政奉還復古し、明治元年四月太政官に八科を置き、次で八科を八局と為し、又七官に改む(議政・行政・神祇・会計・軍務・外国・刑法)を置き、軍務官をして軍政を掌らしむ、二年七月新に官制を定め六省を置き兵部を以て
軍務を統督せしめ兵制も亦文明諸国の制に準じて漸次改正せられたり。

「722:例言、緒言」への4件の返信

参酌して 補填 は補綴 ホテイ だと思います。くずし用例辞典に見つけました。後のも同じと思いますが?

薮下さま
確認ありがとうございます。ご指摘の箇所赤字修正しました。

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