お城の屋根と言えばこれ、というくらい象徴的な造形が鯱です。木造家屋の大敵は火事です。鯱(しゃち)は、頭は虎で体が魚の想像動物で、火を見れば水を噴く性質があると言われています。城の水の守り神です。尾びれを空に向けて反り上げている姿が矛(ほこ)に見えることから、鯱一文字で「しゃちほこ」と呼ばれています。大概のお城では天守閣の頂部に一対ですが、姫路城では頂部だけでなく、各層に配された破風(小屋根みたいなもの)にも鯱が居て、大2体、中2体、小64体と沢山の鯱が城を守っています。だから天守閣の窓から間近に見ることができます。上の写真は小タイプのものです。大天守にはこの内11体が鎮座しています。十一と書いて士。下に口をつけると吉。つまり吉数となっています。
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鯱は雌雄一対とするのが常ですが、姫路城はすべて雌です。実はもう片方が落雷で破壊されていたため、明治の改修の際に残った鯱をもとに復元したためです。
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もう一つの水の守り神が懸魚です。「げぎょ」「けんぎょ」と呼ばれたりもします。屋根の切妻の最上部にある、蕪(かぶ)に波がまとわりついたような飾りをさします。これも火除けのまじないで、字のとおり、太古には魚を吊るしたといういわれから懸魚と呼ばれています。これがなんで蕪になったかはわかっていません。単に水が噴き出している様子が蕪に見えただけかもしれません。切妻部分は庇になっているため火がこもり易く、ここに火が入ると棟木に燃え移るので、この位置に遮蔽版を置くことは物理的にも防火の効果があります。
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姫路城には様々な意匠の懸魚があります。蕪の数や周りの波が複雑なほど格式が高いようです。もっとも豪華な懸魚は大天守東西面の二層ぶち抜きの大破風にあります。こちらは蕪三つの上に六葉、左右に三重波と、まさに美しく優雅であれとのコンセプトを体現しています。六葉の中心の突起物は樽の栓を表していて、栓を抜くと水が噴き出すという意味が込められています。
「水の守り神 鯱(しゃちほこ)と懸魚(けぎょ)」への2件の返信
鯱瓦の語源は
ネパールのマカラからきています。
ネパールのマカラは水の神様として魚に頭はワニです。
だから頭はワニつぽいです。
蕪懸魚は逆さにすると蕪の葉っぱに見える所から蕪懸魚、三花懸魚は花が3つ見える所から三花懸魚です。ちなみに両側ついているひらひら、模様は魚の背ビレを表しています。