不可思議なるも楽な言葉
播州のあちこちで飛び交うごくありきたりなやりとり。
「らく?」「らくらく」
エトランゼ(異邦人)にはまったく意味不明なやりとりだと思う。このやりとりはシチュエーションによって大きく意味が違うのである。
「楽」の意味は、goo国語辞書によると、1.心身に苦痛などがなく、快く安らかなこと 2.生計が豊かなこと 3.たやすいこと。簡単なこと。
シチュエーション1
ケガで入院した友人の見舞いに来て開口一番、「おう、らっか?」。友人は、心身に苦痛が無いわけでもなく、快く安らかでもないのに、「ああ、らっきゃらっきゃ」と包帯だらけの手を上げて返すのである。悪い冗談のように聞こえるが、見舞客は大真面目に心配の気持ちを言っているのである。日本語に翻訳すると「おう、大丈夫かいな、心配したがな」「ああ、なんとかな。心配かけたな」
シチュエーション2
車の営業マンの会話。「オプションでカーナビをつけますと3万円増となりますが、らくでっか?」
生計が豊かかどうか聞いているわけではない。播州弁の「らく」は大丈夫とか「なんとかなる」とかの意味に近いのだと思う。そして「らく」はさらに派生していく。
シチュエーション3
「飲み会、明日になったけど、らく?」「いつでもらっきゃで」
すでにお気づきのように明日の体調を聞いているのではない。もはや「らく」はスケジュール管理にまで手を広げているのである。「あんたは行けるか」と聞けば、疑っているように思われるのではと、播州人は気にするので、平易な「らく」を使う方が楽なのである。実はこの用法が最も多く使われていると思う。
「らく」に似た言葉を探すと、英語のOKが思い当たる。
Are you OK? →OK!OK!
以外に国際的なのかもしれない。
ちなみに「らっきゃ」はraku yaの短縮型でrak’yaと書くのが適切かも。
「播州弁あれこれ 5」への2件の返信
少し方言からそれるかも知れませんが、
逆説的に言えば、多彩な方言のある日本は素晴らしいかも?!
井上ひさしが何かに書いていました。
現在、ウクライナに侵攻して自由社会から顰蹙を買っている
プーチン率いるロシアという国について、井上ひさしは、
ロシア語一つでロシアの端から端まで話が通じるとか。
日本では津軽弁と薩摩弁では話が通じにくいと思います。
さらにアクセント一つで、意味が反対になったり・・
例えば、アホとかバカ(好意的かそうでないか)
とにかく、日本語と方言を自由に使い分けられる日本は
世界有数の文化国家ではないかと思っております。
(砂漠の国の人々には申し訳ないですが、
日本では雨という漢字一つでいくらでも造語があります。
古川柳に
一つ字を雨雨雨と雨るなり
というのがあって、日本人なら読めますね。
あめ、さめ、だれ、ぐれ、ですかね。
知らなかったのでネットで調べました。
日本語は色の表現もとても豊かですね。
赤系では赤、紅、緋、朱、臙脂、茜などなど。