改修の歴史を語る床材

 姫路城は過去3回の大修理が行われてきました。明治の大修理(明治43(1910)年~)、昭和の大修理(昭和10(1935)年~昭和39(1964)年)、平成の大修理(平成21(2009)年~平成27(2015)年)。昭和の修理は戦前からやっていたのですが、本格的な天守閣の修理は昭和31年からです。

 写真は、大天守6階南の西側の破風の床材で、それぞれの改修当時の床材を見比べることができます。上段左側の4枚は420年前の築造時の床材です。真ん中の4枚が明治の床材。一枚挟んで左端の黒っぽい2枚が平成の床材です。そして下段の床材が昭和の大修理時のものです。

 築造時の床材は表面がぼこぼことしています。丸太から板材を切り出す際に、丸のこ盤や帯のこ盤などなかったし、のこぎりで丸太を縦びきすると時間がかかるので、鏨(たがね)を入れて割り裂いていたのです。当然、裂いた断面はとげとげのささくれだらけですから、釿(ちょうな)で叩いて削り取っていました。その釿の削り痕が残っているのです。明治以降は鉋(かんな)仕上げですが、昭和と比べて木目の浮き出しに時代の流れを感じます。平成の床材は、古っぽさを出すために、塗料でエイジング加工がされています。技術が発達すると余計な事を思いつくようです。ちなみに左寄りに映っている剝がれかけたグレーの養生テープは令和のものです。

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